期待しない、ということ

5月30日。晴れ。 初夏といえども夏はまだまだ未熟で、夜になると、ひんやりとした心地よいいくつもの風がビルの間をするすると流れる。 走る私は、その風の1つを場違いに汗ばんだ肌で感じる。 飯倉片町交差点から新一の橋交差点へ、そして赤い靴はいた女の子…

小倉くんの失われた青春、あるいはハイスペ男子の背負う業について

小倉くんと会うのは2週間ぶりだったが、僕たちとの間には不思議なぎこちなさがあった。 なぜなら、大学の卒業式以降、一切連絡のなかった彼から急な連絡を受けて会ったのがその2週間前の合コンであり、そこにおける2時間強程度の再会の場は、僕たちの空白の4…